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2026年4月4日キャリア

TESOLの歴史とは?1966年の誕生から現在までの流れをわかりやすく解説

TESOLはいつ、どこで生まれたのか

TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)は、英語を母語としない人に英語を教えるための国際資格です。日本ではまだ馴染みが薄い資格ですが、海外では英語教師の採用条件として広く使われています。

この記事では、TESOLがどのようにして生まれ、世界に広まり、今の日本にどうつながっているのかを、時系列に沿って解説します。

1966年:アメリカでTESOL協会が設立

第二次世界大戦後、アメリカには世界中から移民や留学生が集まるようになりました。英語を教える場面は増えましたが、当時は「英語を母語としない人への教え方」を専門的に扱う分野がありませんでした。

ネイティブスピーカーが感覚で教える。文法書を渡して終わり。それが当たり前の時代です。

しかし、現場では問題が積み重なっていきます。

  • 母語が違えば、つまずくポイントも違う
  • 大人と子どもでは、学び方が根本的に異なる
  • 文法を覚えても、話せるようにはならない

「教える側にも、専門的な訓練が必要だ」

この考えのもと、1966年にアメリカでTESOL International Associationが設立されました。英語教育の指導法を研究し、教師を育成し、教育の基準をつくる。TESOLという分野の出発点です。

1970〜80年代:大学で学べる専門分野になる

1970年代に入ると、欧米の大学でTESOLの修士課程が次々と開設されます。英語教育は「経験と勘の世界」から「研究と理論に裏打ちされた専門職」へと変わり始めました。

第二言語習得理論(SLA)の登場

この時期に大きな影響を与えたのが、言語学者スティーブン・クラッシェンの「インプット仮説」です。学習者が理解できるレベルより少しだけ上の英語に触れることで、習得が進むという考え方で、今日のTESOLプログラムでも中心的に扱われています。

「とにかく聞け」「とにかく読め」ではなく、教師が学習者のレベルを見極めて、適切な難易度の素材を選ぶ。この発想は、ここから始まりました。

イギリスとオーストラリアへの広がり

1980年代にはイギリスでCELTA(Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages)が体系化され、オーストラリアでも独自のTESOL認定プログラムが広がりました。アメリカだけでなく、英語圏全体でTESOLが教師資格の標準になっていきます。

1990年代:アジア・中東で英語教師の需要が急増

冷戦が終わり、グローバル経済が一気に拡大した1990年代。英語は「国際共通語」としての地位を固めました。

韓国、中国、台湾、タイ、中東諸国。英語を国家戦略として位置づける国が次々と現れ、英語教師の需要が爆発的に伸びます。

同時に浮き彫りになったのが、「教師の質」の問題でした。英語が話せるだけの人を教室に立たせても、学習者は伸びない。教える訓練を受けた人が必要だという認識が広がり、海外の語学学校では「TESOL保有」が採用の条件として定着していきました。

2000年代:オンラインで世界中から取得できる時代に

インターネットの普及が、TESOLの取得環境を大きく変えました。

それまでTESOL資格を取るには、英語圏の大学に留学するか、現地のプログラムに通う必要がありました。しかし2000年代に入り、オンラインで学べるTESOLプログラムが登場します。

  • 仕事を続けながら学べる
  • 世界中どこからでもアクセスできる
  • 費用も従来の留学と比べて大幅に抑えられる

TESOLは「一部の専門家のための資格」から、英語を教えたい人なら誰でも目指せる資格へと変わりました。

2020年代:日本でTESOLが必要とされ始めた理由

日本のTESOLの歴史において、2020年は大きな節目です。

小学校英語の全面必修化

2020年度から、小学3年生で外国語活動、5年生で英語が正式教科として必修になりました。しかし、英語を教える専門訓練を受けた小学校教員はごくわずかです。中学・高校の英語教員も、英語力は高くても「教え方を体系的に学んだ」経験がない人が多いのが現状です。

オンライン英会話の急成長

コロナ禍をきっかけに、オンライン英会話の利用者は急増しました。講師の数は増えたものの、「教え方を学んだ講師」と「英語が話せるだけの講師」の違いが、学習者にも見えるようになってきています。

AI翻訳の進化と英語教師の役割

翻訳はAIがやる時代になりました。では、英語教師はいらなくなるのか。答えはNoです。

学習者のやる気を引き出し、適切なタイミングでフィードバックを与え、つまずきに寄り添う。これは訓練を受けた教師にしかできません。AIが進化するほど、「教えられる人」の専門性は際立ちます。

TESOLの歴史年表

年代

出来事

ポイント

1966年

TESOL International Association設立

英語教授法が専門分野になる

1970年代

大学院にTESOL修士課程が広がる

学問としての基盤ができる

1980年代

CELTA体系化、豪州でプログラム拡大

英語圏全体の標準資格に

1990年代

アジア・中東で英語教師の需要爆発

採用条件として定着

2000年代

オンラインTESOLプログラムの登場

誰でも取得を目指せる時代に

2020年代

日本で英語必修化・AI時代の到来

日本での普及期に突入

TESOLはこれからどうなるのか

参考になるのがFP(ファイナンシャルプランナー)の歩みです。FPも1969年にアメリカで生まれた資格で、TESOLとほぼ同じ時期に誕生しています。日本に届くまで約20年。制度化されてから「持っていて当然」になるまで、さらに約10年かかりました。今では年間50万人以上が受験する資格ですが、最初は「何の資格?」と聞かれる存在でした。

FPが広まった理由はシンプルです。資格そのものが偉かったからではなく、「お金のことを教えられる人」を社会が必要としたからです。

今、同じことが英語教育の領域で起きています。英語教育の質が問われ、「教えられる人」が求められるこの時代に、TESOLが日本で広く認知される流れは、すでに始まっています。

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